セルフケアの重要性:日々の歯磨きのクオリティーを上げるには
日々のブラッシングは自分の歯を守るために必要なセルフケアのひとつです。
歯科医院に定期的に通い、クリーニングを行っていても日々のセルフケアが正しくできてないと、残念ながら虫歯や歯周病などの病気にかかるリスクが上がってしまいます。
虫歯は初期の段階で発見できれば、歯を削る面積も少なく済み、審美的にもあまり目立たない治療が可能なことが多いです。
一方で、虫歯が大きくなって発見された場合は、歯を削る面積も多くなり、それに伴い詰め物も大きくなるので目立ってしまうことも多いです。
また虫歯がさらに大きくなり、神経まで達してしまうと、神経を取り除くことは免れません。
さらに、虫歯治療後でも、詰め物や被せ物の下で二次的に虫歯になってしまうこともあります。
いずれにしても一度虫歯を作ってしまうと、歯に対する負担が増えてしまいます。そして、主にホワイトニングで白くできるのは、ご自身の歯です。基本的には詰め物や被せ物の色は変わりません。
また、歯周病は完治が難しい病気です。重度の歯周病にかかってしまうと、最悪の場合、歯が保存できず抜歯という結果になってしまうこともあります。
その他にも、日々のブラッシングを怠ってしまうと、歯の表面の着色が蓄積してしまいます。着色が綺麗に落ちていることは、ホワイトニングの効果を上げる手助けにもなります。
ブラッシングなどのセルフケアで取りきれない汚れもありますが、その際に歯科医院での定期的なクリーニングを利用して頂くのが、最も効率のいい口腔ケアです。
では、正しいセルフケアとはどのようなものなのか5つの項目に分けてお伝えします。
①歯磨きのタイミング
「食べたら磨く」を実践すると歯の表面の汚れは溜まりにくくなります。歯の表面、特に歯と歯茎の溝に汚れがたまり、硬くなってしまうと歯ブラシでは取りきれない歯石が形成されてしまいます。汚れはなるべく早いうちに取っておくのがベストです。
また、着色汚れは食後すぐの歯磨きで防げることもあります。
ですので、朝昼晩の食後に3回ほど歯磨きをするのが理想です。特に就寝前の歯磨きは時間をかけて念入りに行うと、虫歯のリスクは減少します。
②正しい歯ブラシの選び方
歯ブラシのブラシが付いている部分をヘッドと呼びます。ヘッドの大きさは上の前歯2本分が目安です。お口の中で動かしやすいものを使用しましょう。
また、ブラシの硬さは、歯茎が健康な状態なら普通〜かためのものを使用し、歯茎から出血する場合はやわらかめのものを使用しましょう。
③正しいブラッシングの仕方
まず、歯ブラシはペンを持つように持つと余計な力が加わりにくく、適切な力で磨くことができます。目安としては、歯ブラシの毛先が広がらない程度の力で磨きましょう。
握り拳を作るように歯ブラシを持ってしまうと、大きな力が加わりやすいです。その状態で磨いてしまうと、歯茎が下がる原因にもなってしまいます。
次に、歯ブラシの動かし方についていくつかご紹介させて頂きます。
・スクラビング法
歯ブラシの毛先を歯面に対して直角に当てて、弱い加圧で微振動を加える磨き方です。
この方法は清掃効果が高く、基本的にはどのような口腔内の方にも適しています。
・バス法
歯ブラシの毛先を歯と歯茎の溝に入るように当て、弱い加圧で微振動を加える磨き方です。
この方法は主に歯周ポケットの清掃や、歯茎のマッサージを目的とするものです。歯周病がある方に適しています。
その他にも様々な磨き方がありますが、基本的には適度な力で汚れをかき出すようにしてブラッシングをすることを意識しましょう。
④正しい歯磨き粉の選び方と使用方法
まず、歯磨き粉の選び方についてご説明します。
歯磨き粉にはいくつかの成分が含まれています。主に歯磨き粉に含まれている薬用成分で歯磨き粉の違いが出てきます。
ここで、薬用成分と効能についていくつか例を挙げていきます。
・フッ化物
虫歯予防の効能があります。
・硝酸カリウム、乳酸アルミニウム
知覚過敏抑制の効能があります。
・トラネキサム酸、塩化ナトリウムなど
歯周病予防の効能があります。
このように歯磨き粉には様々な成分が含まれており、その成分によって効能が違ってきます。自分自身のお口の状態や用途に合わせた歯磨き粉選びが大事です。
次に、歯磨き粉の正しい使用方法をお伝えします。
まず、歯磨き粉は十分な量を使用しましょう。せっかく自分に合った歯磨き粉を使用していても、量が少なければ、磨いているうちに唾液によって歯磨き粉が薄まり、効果が十分に発揮されない可能性があります。お口の中全体に歯磨き粉が行き渡るくらいの量を目安に使用して下さい。
ブラッシング前に、全体的に歯磨き粉を塗布してから磨き始めると、どの歯にも均等に歯磨き粉が行き渡り、まんべんなく磨くことができます。
⑤歯間清掃器具の利用
最後に歯間清掃器具についてお伝えします。歯ブラシでしっかりと磨いていてもなかなか取れない汚れもあります。
特に歯と歯の間は食べ物も詰まりやすく、汚れも溜まりやすいです。歯と歯の間は狭く、歯ブラシの毛先が届かないことも多いので、汚れがそのままの状態で残り、蓄積されてしまうこともあります。そこで、歯ブラシと併用して使って頂きたいのが、デンタルフロスや歯間ブラシです。
デンタルフロスと歯間ブラシの正しい使用方法をお伝えします。
・デンタルフロス
主に歯と歯の間の狭い部分に使用します。糸部分を前後に動かしながらゆっくりと歯間に挿入します。歯間部は狭く、なかなか糸が通りづらいこともありますが、力任せに糸を通してしまうと、歯茎を傷つけてしまう原因になるため、ゆっくりと通しましょう。
歯茎に糸が触れるくらいまで通せたら、歯の側面をなぞるように糸を上下に動かしましょう。そうすることによって、歯ブラシだけでは落としにくい歯間部の細かい汚れが落ちてくれます。
・歯間ブラシ
基本的に歯と歯茎の際部分の少し隙間が広い部分の使用に適しています。
歯茎を傷つけないようにゆっくりと歯間ブラシを隙間に挿入し、そのまま左右に軽く揺するようにして動かします。すると、汚れがブラシに絡め取られます。
このように歯間清掃器具の利用によって、より良い口腔内環境を作り出すことが可能になります。
その他にも歯間清掃器具だけでなく、磨きにくい部分(歯並びの整っていないところや奥歯の奥など)にはヘッドの小さいタフトブラシを使用することによって磨き残しを最小限に抑えることができます。
このコラムでは正しいセルフケアについてお伝えしてきました。
日々のセルフケアを十分に行うことで病気にかかるリスクを減らし、さらにホワイトニングの効果も上げていくことができます。
コラムでお伝えした内容が、皆様の口腔ケアの一助になれば幸いです。
ホワイトニングのことだけでなく、お口の健康について不安なことや分からないことがあればお気軽にお問い合わせください。
コラム執筆者
パールホワイトニング肥後橋デンタルクリニック院長 歯科医師 田中久弓
済生会中津病院口腔外科勤務後、一般歯科医院にて診察を行う。2017年から全国の歯科医院にホワイトニングの技術を教える講師が運営する、ホワイトニングサロンBeauteでホワイトニング専門歯科医師として勤務。2019年にパールホワイトニング肥後橋デンタルクリニックを開院し、「ホワイトニングが当たり前の世の中にする」ために活動しています。