ホワイトニング根元の黄ばみ

鏡を見た時にふと気になった歯の黄ばみ。よく見ると歯の根元に向かって黄ばみが増していると感じる方が多いのではないでしょうか。なぜ、歯の根元の方が噛む側よりも黄ばみが強いのでしょうか?3つの理由が挙げられます。
①歯の形態学的特徴
②歯の根元に詰め物をしている
③テトラサイクリン歯
④歯茎が下がっている
ひとつずつみていきましょう。
目次
歯の根元側の黄ばみが強い理由
①歯の形態学的特徴
こちらは歯の断面図を用いてその特徴を説明します。
歯は3層構造で構成されています。内側から歯の神経、象牙質、エナメル質という順番です。図からわかるように歯の噛む面よりも歯の根元方向(歯茎側)に向けて再表層のエネメル質が薄くなっています。エナメル質は半透明で乳白色の組織であり、内側の象牙質の色が透けて見えます。
この象牙質は黄色い色をしており、歯が黄色くみえる原因は象牙質にあります。ですのでエナメル質が厚い歯の噛む側の面よりも根元方向の方がより象牙質の黄ばみがエナメル質から透けてみえやすいため歯の根元側の方が黄ばみが強くなります。

②歯の根元に詰め物をしている
歯の根元側というのは噛む面に比べると虫歯のリスクが高く、また知覚過敏の原因部位にもなりやすいです。それらの治療のために根元部分にレジンという詰め物をすることがあります。このレジンですが、詰めた当時は自分の歯の色味と合わせるため、違和感がないのですが材質が経年的に劣化してくることにより変色してきます。ですので、きわの部分の黄ばみが増したように感じることがあります。この場合、詰め物を自分の歯の色味に合わせて詰め替えることがおすすめです。
また、その際、ホワイトニングをされる時にはホワイトニングを先行してから詰め物をやりかえてあげる方が自然に仕上がります。
そして、レジンに関してですが経年的に変色することに加えよく力がかかる部分(歯ブラシの圧が強く当たっているところや歯の噛み合わせによる負荷が強くかかっているところ)では部分的に欠けてしまうこともあります。この欠けた部分と自分自身の歯にできた小さな溝に着色物などが入り込み、部分的に変色することもあります。
③テトラサイクリン歯
まず、テトラサイクリン歯とは歯の形成期(出生〜12歳)にテトラサイクリン系の抗生剤を服用することにより歯に変色が生じます。テトラサイクリン系抗生物質はかつて風邪薬のシロップとして用いられてきました。昭和40年代ころによく使用された薬であり、年齢でいうと40代〜50代の方によく見受けられます。テトラサイクリン歯で変色が起こる原因ですが、テトラサイクリンがカルシウムと結合しやすいという性質のため形成中の歯に含まれるカルシウムと結合し象牙質の中に沈着します。この沈着物質は紫外線に当たると光化学反応により変色します。この変色の現れ方は、テトラサイクリンの服用量や時期により様々な容態を示します。その中でも2層性に変色が現れ、きわの部分に濃いめの変色が現れる方もおられます。
④歯茎が下がっている
加齢や歯周病が原因で歯茎は退縮する(下がる)傾向にあります。歯茎が退縮するとエナメル質で覆われていない象牙質がむき出しになってきます。象牙質がむき出しのため、エナメル質で覆われている部分に比べると黄ばみがまして見えます。この歯茎が下がる原因ですが、加齢や歯周病以外にも噛み合わせなどで部分的に強く力がかかるところや歯ブラシの際に強く磨きすぎの部分にもにも起こることがあります。
根元の黄ばみに対してホワイトニング は有効か?
①〜④の場合で見ていきましょう。
①の場合
歯の形態学的な特徴のため、ホワイトニングで歯全体を一様に真っ白にするのは難しいです。またオフィスホワイトニングは薬剤が強く歯の根元側まで薬剤を塗布すると歯茎についてしまう可能性もあるため、根元付近まで薬剤を塗るのが難しい傾向にあります。ですので根元の黄ばみが気になる方には歯のきわまでしっかりとマウスピースで多いホワイトニングすることのできるホームホワイトニングがおすすめです。オフィスホワイトニングに比べて歯のきわまで薬剤を作用させることが可能です。
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②の場合
歯の根元に詰め物をしている場合には詰め物部分にホワイトニングの薬剤は作用しません。ですので、ご自身の歯の色味に合う詰め物のお色に詰め直すことが必要になります。
③の場合
ホワイトニングが有効な場合もありますが、効果が現れるのが普通の歯に比べると遅いもしくは効果が現れにくい可能性もあります。効果が出ない場合には詰め物や、テトラサイクリンによる変色が全体的に重度な場合にはセラミック治療などを選択される方もおられます。
セラミック治療となると歯を削ることになるため、まずはホワイトニングの効果の発現を試してみてからセラミック治療を選択されるのも良いかもしれません。
④の場合
象牙質が露出している部分ではホワイトニングの薬剤による痛みを考慮し、ホワイトニングでの改善は難しいかと思われます。プラスチックの材料であるレジンで露出した部分を覆う治療や自分自身の歯茎を移植し、象牙質がむき出しの部分を覆うような歯周外科処置などの治療法があります。
いかがでしたでしょうか?歯の根元側の黄ばみと一言にいっても原因は様々です。気になる方は歯科医院でのご相談がおすすめです。
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コラム執筆者
パールホワイトニング肥後橋デンタルクリニック院長 歯科医師 田中久弓
済生会中津病院口腔外科勤務後、一般歯科医院にて診察を行う。2017年から全国の歯科医院にホワイトニングの技術を教える講師が運営する、ホワイトニングサロンBeauteでホワイトニング専門歯科医師として勤務。2019年にパールホワイトニング肥後橋デンタルクリニックを開院し、「ホワイトニングが当たり前の世の中にする」ために活動しています。