口呼吸って何?

口呼吸という言葉を聞かれたことはありますか?
最近では話題になりつつある言葉なので、聞かれた事のある方も多いかもしれません。
口呼吸とは、鼻ではなく口を通して行う呼吸のことです。通常、人は鼻呼吸が基本で、鼻を通じて空気を吸ったり吐いたりするのが正常です。
ですので、口呼吸は正常の状態ではなく、良くない状態のひとつとされています。
では、何故よくないのでしょうか。今回は口呼吸が良くない理由について詳しく解説していきます。
口呼吸によって起こる弊害
①全身の病気を引き起こす可能性
②虫歯や歯周病になりやすくなる
③歯並びが悪くなる
④老化が促進する
この4つのことがあげられます。
それぞれについてみていきましょう。
①全身の病気を引き起こす可能性
口には口の役割、鼻には鼻の役割があります。
口はお喋りしたり、ご飯を食べることが主な役割です。呼吸をするのは鼻の役割です。
鼻で息をすることで、外の汚い空気を吸い込むときに、鼻毛を通して悪い細菌やウイルスをブロックしてくれたり、湿度を適正にして体の中に送り込んでくれます。
しかし、口で息をすることで、汚い空気をダイレクトに体の中に取り込んでしまうため、風邪をひきやすかったり、アレルギーになりやすくなります。
②虫歯や歯周病になりやすくなる
お口のなかの『唾液』には、お口の中を虫歯になりにくい環境にしてくれたり、口腔内の細菌をやっつけたり、汚れを洗い流してくれたりする役割があります。
口呼吸をしていると、お口が乾燥し唾液が不十分になってしまいます。その状態では、細菌が繁殖し、虫歯や歯周病になりやすくなります。さらには口臭の原因にもなります。
口を閉じてお口の中を常に潤わせておくことが大切です。
③歯並びが悪くなる
人それぞれの歯並びは、たまたまそのような歯並びになったのではありません。お口周りの筋肉と、ベロの筋肉がお互いに押し合って、均衡の保たれたところに歯はならんでいきます。
口呼吸をしていると、お口周りの筋肉、ベロの筋肉が緩み、よき場所に歯が並んできません。
また、ベロには正しいポジションがあります。ご飯を食べる時、お喋りをする時以外は、ベロは上顎(うわあご)にピタっとつけておくのが正しいベロの位置です。
特に歯の生え変わり時期のお子さんには良い歯並びを手に入れるために口呼吸をしないこと、ベロの正しいポジションを身につけることは非常に重要なことです。
歯は常に動いています。大人でも鼻呼吸をしっかり身につければ、今からでも改善される可能性はあります。
④老化が促進する
使わない筋肉はどんどん衰えていきますが、お口の周りの筋肉も同様です。口呼吸によってお口周りの筋肉が緩んでいくと、皮膚のたるみにも繋がります。お口周りだけでなく、顔全体の皮膚の緩みにもつながるので、目元口元の皺や二重顎の原因にもなりかねません。
お口を閉じてベロを上顎につけておくと、自然と鼻呼吸が出来ます。逆に少しでもお口が開いていると、それは口呼吸です。寝ている時にいびきをかいている人も要注意です。寝ている時は無意識なので、口呼吸防止テープというものもあるので活用してみるといいかもしれません。
口呼吸の改善方法
① 鼻の通りを良くする
口呼吸の多くは鼻づまりが原因です。鼻呼吸がしやすい環境を整えましょう。
②正しい姿勢と習慣
口呼吸の癖は、姿勢や日常の習慣からくることもあります。
• 舌の位置を意識:舌を上顎につけることを意識する(理想の舌の位置)。
• 口を閉じる練習:無意識に口を開けないよう意識し、唇を閉じる癖をつける。
• 正しい姿勢:猫背にならないよう背筋を伸ばし、鼻呼吸しやすい状態を保つ。
③口腔筋のトレーニング
口の周りや舌の筋肉を鍛えると、自然に口を閉じられるようになります。
• あいうべ体操
1. 「あ・い・う・べ」と大きく口を動かす。
2. 毎日3分程度繰り返すことで、口周りの筋肉が鍛えられる。
• 風船トレーニング:風船を膨らませることで口腔筋を強化。
• ガムを噛む:硬めのガムを噛むことで、顎や口周りの筋肉を鍛える。
④寝ている間の工夫
寝ている間の口呼吸を防ぐには以下の工夫が有効です。
• 口テープを使用:市販の専用テープで、寝ている間に口が開かないようにする。
• 枕の高さを調整:鼻呼吸しやすい姿勢になるように枕を選ぶ。
• 横向きで寝る:仰向けよりも横向きの方が口が開きにくい。
⑤医療的なアプローチ
口呼吸の原因が身体的な問題に起因する場合、専門家の診断と治療が必要です。
• 耳鼻咽喉科での診察:鼻づまりやアデノイド、扁桃腺の肥大が原因なら治療を受ける。
• 歯科矯正:歯並びや顎の形状が口呼吸に影響を与える場合、矯正治療が効果的。
• 睡眠外来:睡眠時無呼吸症候群の可能性がある場合、専門的な検査を受ける。
⑥ 日常生活での意識
• 深呼吸を意識:鼻からゆっくり吸って、鼻から吐く呼吸法を習慣にする。
• ストレスを減らす:ストレスによる過呼吸や口呼吸を防ぐため、リラックスを心がける。
いかがでしたでしょうか?今回は口呼吸について詳しくまとめました。この記事が読んでくださった皆様のお役に少しでもたてますと幸いです。

コラム執筆者
パールホワイトニング肥後橋デンタルクリニック院長 歯科医師 田中久弓
済生会中津病院口腔外科勤務後、一般歯科医院にて診察を行う。2017年から全国の歯科医院にホワイトニングの技術を教える講師が運営する、ホワイトニングサロンBeauteでホワイトニング専門歯科医師として勤務。2019年にパールホワイトニング肥後橋デンタルクリニックを開院し、「ホワイトニングが当たり前の世の中にする」ために活動しています。